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モンテッソーリ教育のメリットとデメリット

今少しずつ注目されているモンテッソーリ教育をご存知でしょうか。子どもの自主的な成長を目指すモンテッソーリ教育を受けることで、子どもがどう変わっていくのでしょうか。また、子どもの性格によって向き不向きはあるのでしょうか。今回は、モンテッソーリ教育のメリットとデメリットを考えてみましょう。

モンテッソーリ教育の具体的な内容とは


モンテッソーリ教育とは、子どもが自ら自分を育てる力があることに気づいたマリアモンテッソーリによる教育法です。
子ども自らの力、「自己教育力」を最大限発揮させるために、環境や教具使って様々な分野の学びを行います。
子どもの発達段階に応じて現れる、物事に対する敏感期をよく見極め、数や文字、文化や美術、感覚などの敏感期にあった遊びや働きかけ、教具での教育を行います。

モンテッソーリ教育は、生涯学び続ける姿勢を持ち、自立した人間を育てることを目的としています。

日本では、幼稚園や保育園でモンテッソーリ教育を取り入れている園があるほか、小学校は私立で3校ほどあるとのことです。海外とは違い、モンテッソーリ教育を早期教育と捉える雰囲気もあり、小学校以降で取り入れている学校が少ないのが現状です。

幼稚園や保育園では、教具を使い、様々なことに取り組みます。
洗濯や掃除、裁縫やナイフを使ったもの、文字教育や文化、地理、美術、感覚などに働きかける教具があります。

大人は、興味を示した子どもに対し、黙ってやり方を提示し、子どもに見せます。子どもが実際にやってみたとき、間違っていても途中で声をかけて注意したり促すことはしません。
最後まで終わってから、再度見本を見せて伝えます。
子どもが興味を持ち、試行錯誤をすることで集中し満足感を得ることが、更なる集中力や興味の広がり、周囲への優しさ、思いやりなどを育てる土台となるのです。

モンテッソーリ教育を取り入れた園は、縦割り保育でのクラス編成が多く、小さな子どもに大きな子どもが寄添い、お世話をすることが多いようです。

日本の幼稚園や保育園での取り組み

具体的な取組みとしては、環境と教具、教師を用意することでモンテッソーリ教育を行っています。

・教具:モンテッソーリ教育、独自のもので子どもが触って実践できる本格的な玩具でもあります。感覚教育や言語教育、算数教育など様々な分野にわかれて目的の違う教具が用意されている必要があります。
色彩、重量、質感など本物でなくてはなりません。

・環境:教具などはしっかりと整理整頓され、見やすく出しやすく片付けやすい環境でなくてはなりません。それらの教具を使う広いスペースも必要です。触ってみたい、やってみたいと思えるように整て、いつでも触れるように準備しておく必要があります。

・モンテッソーリ教育では、教師は子どもの自立を援助するという立場になります。整理整頓や環境の設定、選択肢の用意、見守りなどを行います。

モンテッソーリ教育のメリット・デメリット

モンテッソーリ教育の理念は子どもの成長に寄添い、子どもの自ら成長する意欲を伸ばすものですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

モンテッソーリ教育のメリットとは?

モンテッソーリ教育は、遊びの中で大人に強制されたり、一人ひとりの興味や関心を問わず、一斉に同じことに取り組まなければならないということはありません。
子どもが興味・関心を持っていることを見つけたら、楽しみ方を伝え、後は試行錯誤しながら取り組み、更なる集中力や好奇心、追及する気持ちを育てていきます。

また、異年齢保育や縦割り保育をしている園が多くなるので、異年齢間でのコミュニケーション能力が育つことでしょう。

他の子どもと比べられることはなく、自分の得意なことや興味のあることへ没頭することができます。また、他の子どもの行っている教具での「お仕事」を見て刺激を受けながら興味のある分野を豊富に伸ばしていけることや、お仕事について教師が黙って手本を見せ、そこからやり方を覚えるという教育方針のため、察したり観察する力も身につくことでしょう。

モンテッソーリ教育のデメリットとは?

日本の幼稚園や保育園でモンテッソーリ教育を取り入れている多くの園では、もちろん教具ばかりをしているわけではなく、外遊びや運動、戸外活動や英語教育、リトミックなど、様々な遊びも行っています。

ただ、一般的な幼稚園や保育園と違い、モンテッソーリ教育の園では、決まった自分の場所である机とイスに座り話しを聞くことがほとんどありません。小学校へ入学したときにイスに座って話を聞くことができるのか心配になる保護者もいることでしょう。

子ども一人ひとりの自主性を伸ばす教育方針であるため、協調性や集団での活動がなかなか身につかない子どももいるかもしれません。

また、引っ込み思案な子どもや自分のやりたいことをなかなか見つけられない子どもにとっては、自主的に教具を手に取ることが難しい子どもがいるかもしれません。

更には、体を動かしたい!元気に駆け回って遊びたい!というタイプの子どもにとってはモンテッソーリ教育が合わないこともあるでしょう。

ですが、先にも述べたように、モンテッソーリ教育を行っている幼稚園や保育園は、一日中教具での教育活動をしているわけではなく、戸外活動や一般的な幼稚園のようなイベント、行事も行っています。
デメリットであっても、メリットになると考えられるのかもしれません。

モンテッソーリ教育は「教具」で「お仕事」をすること

モンテッソーリ教育の中心的な活動は、モンテッソーリ教育独自の教具を使って「お仕事」をすることです。子どもは大人のすることを真似たり、仕事や手伝いをすることが好きです。
そんな子どもの特性を活かしながら、子どもの興味や関心、生活する能力、知識やしやを広げる教具が5つのジャンルに分かれ、豊富にあります。

①日常生活の練習

トレーに乗った食器などを運ぶ物の移動、器から器へ物を移動するあけ移し、水のあけ移し、洗濯板での洗濯、アイロンがけ、掃く・磨く・ブラシ掛けなどの掃除、火の扱いやナイフの扱いなどを経験できる教具があります。
このように生活の中で出会う様々な動きから運動機能の発達を促したり、ルールやマナーを知ることを目的としています。

②感覚教育

枠にはめ込む、塔を立てる、長さや順序を知るパズルや積み木、型はめ、袋に入っているものを手探りで当てる、音感ベルなど、感覚をはぐくむ教具があります。
視覚・触覚・聴覚・味覚・嗅覚の5つに分け、分類化・同一性・漸次性を明確にし、知的発達の基礎をつくることを目的としています。

③言語教育

教師や友達との日常会話、挨拶、絵本の読み聞かせなど一般的なことの他に、絵カード、文字探し、なぞり書き、写し絵など文字教育・言語教育に触れられる様々な教具があります。
話し言葉から書き言葉へ成長を遂げ、自分の気持ちのを文字であらわしたり、自分の気持ちの整理などにもつながっていくことを目的としています。

④算数教育

数字と玉の数を合わせる教具、十進法を学ぶ教具、切手遊び、色ビーズなどの教具があり、生活の中で感じたり使用している漠然とした数を、しっかりとシステム・理論に基づいて学んでいけることを目的としています。

⑤文化教育

動物や植物のパズル、世界の国旗、地球儀、葉っぱの見本が入った引き出しなどの教具があります。外国の名前や場所、歴史、伝統、その国の音楽、美術など、小学校でいう理科や社会、図工や音楽などの要素があり、様々なことへの興味関心を伸ばす目的があります。

関わる大人の注意点

環境に心を配ること
教具などの取り扱い方を明快に、正確に示す
子どもが環境と交流を持つまでは積極的に、集中をしはじめたら消極的になりなさい
探しものをしていたり、助けを必要としていたりする子どもを見逃さないよう観察しなさい
呼ばれら駆け寄り交歓しなさい
言語で表現する、しないに関わらず招かれたら耳を傾けてあげなさい
子どもがしているお仕事を尊重し、質問を投げかけたり中断したりしないようにしなさい
子どもが間違っても直接的に訂正するのではなく、子ども自身に気付かせなさい
休憩していたり、他の子どものお仕事を見ているときも尊重し、お仕事を無理強いしないように
お仕事を拒否したり、理解しなかったり、間違ったりしている場合は、仕事への誘いかけに努めなさい
教員を探し求める子どもに対しては、そばにいると感じさせ、感づいている子どもに対しては隠れるようにしなさい
お仕事がすんだ子どもは安っぽい言葉で褒めず、静かに認めながら子どもの前に現れなさい

出典:おかあさんのモンテッソーリ/野村 緑 著

過程でモンテッソーリ教育をお考えの際は、環境と教具、教える大人の存在が必要であり、関わり方には注意すべきことが多くあります。
ぜひ書籍などを読んで学習してみましょう。

まとめ

今回はモンテッソーリ教育の具体的な教育方法、その目的と、教える大人への注意点などを通し、モンテッソーリ教育のメリットやデメリットについても考えてみました。
教育方法はさまざまなものがありますが、本来子ども自身の中にある自分から成長したいという意欲を伸ばすことを目的としたモンテッソーリ教育や、子どもへの接し方・考え方にはメリットが大きいのではないでしょうか。
多くのモンテッソーリ教育関連の書籍があるので、興味のある方はぜひ読んでみましょう。