今、注目のモンテッソーリ教育をご存知でしょうか。子どもが自ら成長しようとする自主的な力を育てる教育法で、日本では幼稚園や保育園で取り入れていることろがあります。教具を使ってお仕事をするモンテッソーリ教育。教具を購入したり家庭でできる取組みをご紹介します。
目次
モンテッソーリ教育の教具とは
モンテッソーリ教育の中心的な活動は、モンテッソーリ教育独自の「教具」を使って「お仕事」をすることです。
大人が日常使っている道具で仕事をすることに、子どもは興味があり、発達段階に添った興味のあることに対して、ぴったりの教具を用意してあげることで、集中して「お仕事」に取組み、様々な能力を伸ばします。
教具はモンテッソーリ教育独自の分野に分かれて、実際に大人が使っているものを子どもに合わせて小さなサイズにしたものや、本格的なもの、目で見て興味の惹かれるカラフルなものなど様々です。
家庭で行うときの注意点とは?
モンテッソーリ教育の中で、大人の存在は「子どもの自立をサポートする」ということが求められます。
子どもはどんなことも「できない」のではなく「知らない」だけなので、適切な教具の用意と使い方の提供をし、子どもができるようになるまで繰返しサポートします。
「子どもの自主性」「敏感期」と「お仕事」「自主的に楽しめる環境整備」をうまく組み合わせながら行うことがモンテッソーリ教育の根本となります。
教具の使い方の提示はもちろんですが、子どもの様子をよく観察し、興味や関心、成長発達を知ること、子どもが集中しているときは妨げないこと、子どもが自発的に行動するまで待つことも大切なことです。
中でも大人が留意しておきたいサポート方法は以下の通りです。
子どもが使いやすいよう、環境を整える
初めは子どもにやり方の手本を黙って見せる、わからないようであれば繰返し見せる
子どもがやり始めたら黙って見守り、間違っていても途中で声を掛けて注意などはしない
子どもからできない…という態度が見えたときはお手伝いしようか?と声をかける
大人が決めてしまうことなく子どもに選択させ決めさせる
上手!など薄っぺらい褒め言葉ではなく「できたね」など共感すること
途中で辞めてしまっても無理に続けさせようとしない
大人も習慣づくまでは間違えてしまうこともあるでしょう。
親子で根気よく続けていきたいですね。
購入できる教具の紹介
子どもの興味や敏感期や7つの教育環境(別記事参照:子どもの「自己教育力」を育てる!モンテッソーリ教育とは?)に合わせた教具は、子どもの教育玩具メーカーや知育玩具を扱っているお店で購入ができます。
また、オンラインショップでも様々なものを購入できますよ。
値段もさまざまですが、家庭で試してみるのであれば多少リーズナブルでも同じ形や目的のものであれば使ってみても良いのではないでしょうか。
教育環境ごとに教具をご紹介しましょう。
日常生活の練習
・幼児のためのモンテッソーリ忙しいボード
9つのバックル、ネクタイ、ボタンが付属。
日常生活を模倣しているため、子供たちは遊びながら実践的なスキルを学びます。
柔らかなフェルト素材で扱いやすく、実践的な学習能力、セルフドレッシングスキル、認知能力と問題解決能力、および微細運動発達を促進します。
・子供用 お掃除道具6点セット
子どもが使いやすいサイズの掃除用品セット。
カラフルながら優しい色あいで子どもの興味をひきながら本格的に掃除ができます。
感覚教具
・円柱さし 4個セット
どのような形、大きさと形状のコントラスト、長さ、厚さの違いを知らせながら、観察能力と手の協調能力を養います。
・木製のジオボード 幾何学
輪ゴムを使ってパターンを作成するパズルです。
目的としては、想像力と協調性を高め、目と手の協調性、色と形の認識を向上させることができます。
微細運動
・幾何学マッチング引き出し
内部にわずかな傾斜をつけてあるため、上の穴に玉を入れると、下の穴からトレイに出てきます。
繰り返し使用することで、子どもは自分で目標を達成したときの成功を感じます。
・ペグさし
色のついたペグを穴に入れることで、目で見て手で動かす連動した強調運動を育てる教具です。
手を動かすことで様々な腕の筋肉の動きも育てます。
言語教育
・ひらがなカード
絵カードを見ながら、絵の内容(言葉)を確認します。
初めて出会う言葉は覚えます。
また絵合わせや、文字カード合わせにより、文字への関心をを育みます。
こちらの商品はモンテッソーリ教育専用の教具ではありませんが、無い場合はこういった絵カードでも代用が可能です。
・ひらがなスタンプ
読み書きの完成、五十音からの文字の抽出の完成、単語の完成と文の組み立て作業の練習を目的とした教具です。
話し言葉から書き言葉の習得につながります。
数教育
・算数棒
棒で、1から10までの数詞と数量の一致を経験する教具です。
数の概念を学習し、日常生活の中で使う数字や数、算数の計算につながる数を覚えることを目的としています。
・算数ビーズ
こちらも数字と、その数にあったビーズの数を合わせる数字教育の教具です。
モンテッソーリ教育専用の教具ではありませんが、目的としては同じなので代用できるでしょう。
カラフルなビーズは果物になっているので、楽しくお仕事に向かえそうですね。
その他の教具
・ピンクタワー
1つずつ丁寧に運んだり、積み上げる作業を繰り返すことで、指先や手首の筋肉の運動が促され、観察力が養われます。
・秘密袋
どんな形か質問してから手探りで取り出し、確認するといった使い方ができます。
2セットをお持ちであれば、立体図形を目で確認しながら探り出すことで理解が深まります。
・国旗世界地図
世界の国旗を知り、その国の場所を地図で知る教育に使える教具です。
その国で生息している動物、金貨、言葉なども合わせて用意し、世界の国々を知る機会を作ることができます。
100円ショップで代用できる教具
これまでご紹介した教具は、それぞれお値段の張るものが多くあります。
多くの子どもの敏感期や興味・関心に添ったものを購入してもすぐに興味がうつったり、成長と共に物足りなくなったりして使わなくなりますね。
そんな時は100円ショップの商品で代用になるものがたくさんあります。
例えば、木材・ねじ・ゴムハンマー・釘・布・発布スチロールなど様々な素材を利用し、教具を作ることができますね。
また、スイッチ類などをたくさん用意して感覚の刺激にしたり、ガラスのコップやピッチャーなどで注ぐ感覚の教育玩具になります。
モンテッソーリ教育の教具は、おままごとではなく本物の素材を使うことが大切なこととされています。
ガラス製品は落とせば割れてしまいますが、それも大切な経験。
100円ショップの商品であれば多少の故障も気兼ねなく使わせてあげられますね。
ぜひ100円ショップをのぞいて商品をよく観察してみましょう。
また、実際に100円ショップの商品でモンテッソーリ教育の教具を作っているママもいますよ。
ぜひとも参考にしてみましょう。
モンテッソーリ教育の考えに触れられる書籍の紹介
モンテッソーリ教育の理念をもっと深く知りたい、家庭でモンテッソーリ教育を実施するときのヒントになる本が読みたい…モンテッソーリ教育を初めてみると何か参考になる本が読みたくなることでしょう。
おすすめの本をご紹介します。
ママ、ひとりでするのを手伝ってね
子どもがもつ大きな可能性をひき出し、自主性や他人への思いやりをはぐくむために、親はどうすればよいかを、豊富な実例で分かりやすく説明します。
「なるほど、そうか」と思われるにちがいありません。/解説より
目次の一部:幼児期は自然からもらっている宿題をする時期/たいせつな感覚と運動の敏感期/「学び方」を学ぶ時期/人格が育つ道筋/「子どもの仕事」とその観察の仕方/日常生活を使う教育
モンテッソーリ教育の基本的な理念を教えてくれる入門本です。
おうちでできるモンテッソーリの子育て 0~6歳の「伸びる!」環境づくり
おうちでできるモンテッソーリの子育て0~6歳の「伸びる!」環境づくり/クレヨンハウス
園に行かなくても、特別な道具がなくても、家庭で、家庭にあるものでできる、モンテッソーリ教育に基づいた子育てをご紹介します。
イラストや写真を多く使いながら、モンテッソーリ教育についても説明していますので、モンテッソーリ教育を全く知らなくても大丈夫です。
「モンテッソーリ教育って何?」「モンテッソーリ教育ってむずかしそう」という方から、「モンテッソーリ園に通わせられない」「モンテッソーリ教育の書籍をなかなか読み込めない」とあきらめていた方まで、幅広くみなさまに手に取っていただきたい1冊です。
/出版社コメント
子育ての真っ最中のママたちに、子育てに悩む保護者の方々に、もちろんモンテッソーリ教育に興味がある方や家庭でも取り入れたいと考えている方に読んでほしい本です。
モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる お母さんの「敏感期」
モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる お母さんの「敏感期」/相良敦子
子どもに向けた視点だけではなく、保護者に向けた視点で考えるモンテッソーリ教育の本です。
育児の中で困ったり迷ったりするシーンを具体的に提示しながら、その対応やアドバイスが詳しく書かれているまさにモンテッソーリ教育の育児書。
これまで気づかなかった大切な子どもの敏感期について、どうしたら取り戻すことができるのか本と一緒に考えることができますよ。
まとめ
モンテッソーリ教育は、子どもの成長発達=敏感期を知ることで、保護者自身も楽になり成長できる教育法です。
奥深く難しく感じるかもしれませんが、本を読んだり情報を検索するなどし、ポイントを抑えるとシンプルながら子どもとの心の距離が近くなる教育法だということが理解できることでしょう。
普段の子どもの様子の中で「なぜぐずるのだろう?」「どうしてこんなに同じいたずらばかりするの?」「何がおもしろいのだろう…」ともしも感じることができれば、それはモンテッソーリ教育へ触れるチャンスでもあります。
子ども本来の姿を知り育児をすることは、わが子の成長と手応えを感じる近道となります。
興味のある方は、ぜひおうちでモンテッソーリ教育を取り入れてみませんか。