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絵本の読み聞かせってどんな風にすればいい?5つのポイントとQ&A

子どもは絵本が大好き。
大好きなパパ・ママ、大人や兄弟とくっついてお話しの世界へ浸ることは、子どもの成長にとって大切な時間でしょう。
また、読み聞かせをする人にとっても癒しの時間となるものです。
けれど、絵本の読み聞かせってどんな風にすればいいの?と迷うことがあるかもしれません。
今回はそんな疑問にお答えしましょう。

絵本を読むことで期待できることとは?

小さな子どもに絵本を読む機会は思ったよりも多くあるものですね。
絵本を読み聞かせすることで子どもの心にどのような効果があるのでしょうか。
主に下記のようなことが期待できると言われています。

子どもとのコミュニケーションを密にできる

絵本の読み聞かせは、大人の声を通して得られるコミュニケーションのひとつ。
大好きなパパやママ、幼稚園や保育園の先生が読んでくれるからこそ、楽しくうれしいく、絵本が好きになるのです。

絵本を読む時間は自然とゆったりした時間が流れることから子どもと心を合わせやすく、絵本の世界に一緒に浸ることができるでしょう。

子どもと一緒に心を通い合わせ、イメージの世界を共有することは、小さな子ども時代だからこそ味わえる何にも代えがたい大切なコミュニケーションでしょう。

子どもの感性や想像力を豊かに育てる

絵本の世界では、ぬいぐるみが話したり、大きな鍋でカステラを焼いたりなど、現実では起こらないことが起こるため子どもを夢中にさせます。

言葉の響きを面白がることからスタートし、〇〇だったらいいな、〇〇だったら楽しいナ、と夢のような想像が広がります。

また、ストーリーが複雑になってくると、相手の気持ちを読み取ったり、主人公の気持ちになったりし、思いやりや共感する気持ちが豊かになることでしょう。

語彙力を増やす

絵本の絶妙な言い回しや言葉のリズム、繰り返される単語などは、子どもの脳を刺激します。

たとえその言葉の意味や使い方を知らなくても、繰り返されることで言葉を「音」として覚え、興味を持ちますね。

少しずつ言葉や会話を獲得していく段階になると、絵本の中に出てくる言葉やせりふを普段の会話の中に取り入れるようになります。

例えば以下のような使い方をします。

「ママ。郵便屋さんがね、お手紙をとん、ことり、したよ。」


(『とん、ことり』筒井頼子 作・林 明子 絵/福音館書店)

 

ママ「ほら、飛行機が飛んでるよ!」
子「ほんとだー!ごろごろにゃーん、ごろごろにゃーんと、ひこうきはとんでいきます、だね!」

(『ごろごろにゃーん』長新太 作・絵/福音館書店)

 

絵本の中に出てくる言葉や言い回し、繰り返される心地の良い言葉は、繰返し読み聞かせをすることで子どもの心へ浸透し、日常の中でも豊かな感性や言葉となって残り続けます

集中力が高まる

絵本は文字と、イラスト、そして読み聞かせる音声の3つが重なり子どもの心や耳へ届きます。

表紙の絵を見せながらタイトルと作者を読むことからスタートし、ページが開くごとにお話しが進むのは、イメージの世界へ誘われ、誰もが集中し入り込むことでしょう。

どんなに読み慣れた絵本であってもひとたび絵本を開けば、集中して楽しみます。

ですが、中には集中できず途中で飽きてしまったり、立って歩きだしたりする子どももいますね。
まだ絵本に慣れていない子どもや、発達や年齢、興味関心などがその子どもに合っていないことが考えられます。

また、周囲が騒がしかったり、本が破れている、いたずら書きがあるなど、他に興味を奪われたり集中をそがれる原因があることも考えられます。

親子で絵本にゆっくりと向き合える環境と、子どもの年齢よりも少し幼い年齢設定の絵本や興味に合った絵本のチョイスをしてみましょう。

絵本の読み聞かせで気を付けたいポイント5つ

絵本の読み聞かせは誰もが楽しめるものであり、難しいルールはありません。
子どもと向き合い心を通わせ読んであげること、それだけです。

ですが、ちょっとしたルールや集団の中で読む場合、気を付けたほうが良いことがいくつかあるのでお知らせしましょう。

表紙から裏表紙まできっちり読む

絵本はタイトルの書いてある表紙から、お話しが終わって閉じた裏表紙までストーリーがつながっていると言われています。

作者の思いが表紙から裏表紙まで続いているのだとか。
確かに、お話の続きや後日談のようなイラストが裏表紙に書かれていることも多々あります。

絵本を読み終わったら「はい、おしまい」ではなく、裏表紙もしっかり子どもと一緒に見てみましょう。
さらにもう一度表紙に戻り見てみましょう。
初めに見たときの印象と違った印象を持つはずです。

絵本の世界を堪能した余韻に浸らせる大切な時間なのです。

声に抑揚をつけすぎない

絵本は登場人物に成り切り声に抑揚をつけすぎることで、作者の意図する世界感や子どものイメージが崩れる恐れがあります。

集中させよう、おもしろくしようとして、登場人物に成り切り演じ分けたり、声色を使ったりすることで、声のおもしろさに興味を惹かれてしまい、ストーリーをじっくりと味わうことができません。それどころかお話しを理解することが難しくなります。

これから成長し、文字だけの教科書を読んだり、更に大きくなり小説を読んだりするとき、抑揚をつけすぎて絵本の読み聞かせを聞いていた子どもは文字に関心を寄せにくくなるという研究結果も発表されています。
出典:第一回目検証結果 絵本を読む際の抑揚は理解力を低下させてしまう!?/maria project

内容を勝手にアレンジしたり変えて読まない

絵本を読むときはアドリブを入れるなど、書いてあること以外は読まないようにしましょう。
これも作者の意図と離れてしまうため、お話しの世界を楽しみ切れないことへつながるからです。

登場人物の名前を変える、増やす、早口で読む、場所の設定を変えるなどはしないようにしましょう。

読み終わった後、子どもに感想を聞かない

「どうだった?おもしろかった?どの辺が面白かったの?鬼がどうして泣いたのかわかった?教えて!」など絵本の内容に関する質問はしないようにしましょう。

質問したり感想を求めることで絵本の世界に浸る大切な時間を奪ってしまうことになります。

子どもが「おもしろかったね」「クマちゃんかわいかった」などと自ら言ってきたときは、そうだね、とだけ言い受け止めましょう。

同じ本をくりかえり読むことをリクエストされたら応じる

昨日も今日も読んだのに、また今夜も同じ本を読んでと子どもが要求してくることも多いでしょう。

様々なジャンルや分野の本を読みたいし、何より同じ絵本ばかり読む保護者も飽きますよね!けれど子どものリクエストは叶えてあげたいもの。
子どもは「繰返し」を好むものなのです。

好きな絵本を繰返し読んでもらうことで心地よく安心感を得ながら、言葉を習得していくのです。
大人は「え?またこの本?もう飽きたよ…」と思っても、子どもの言葉の習得のため、安心感のため、同じ本でも繰り返し読んであげましょう。

こんなときどうしてる? Q&A

子どもに絵本の読み聞かせをしていて「これでいいのかな?」「こんなときってどうしたらいいの?」と思うことはありませんか。

絵本の読み聞かせをしているときの困った・迷った『あるある』にお答えします。

戻って!もういっかい前のページ見せて!!

気に入ったシーン、登場人物の人数が増えるシーンなど子どもは、「待って!もう一回戻って!」とよく言いますね。

こんなときは子どもの言うことをかなえて戻ってもいいのでしょうか。
もちろんOK!テレビや動画サイトと違い、行きつ戻りつをゆっくりしながら読み進めることができるのが読み聞かせの醍醐味でもあります。

「あれ?今、あおむしのたべたもののなかにいちごはあったかな?もっかい見せて!」と、子どもは戻って確認をしたがります。
もちろん、前のページへ戻り一緒に確認しましょう。

子どもの希望がかなえられ、絵本の内容を確認することは、子ども自身を認められていると同じ要素があり、安心し自己肯定感もアップします。

大切に関わってもらっている、大切にされていると感じる時間になることでしょう。

知ってるー!〇〇なんだよねー!と子どもがあらすじを言う

「次は、迷子になるんだよねー?知ってるもん!」と得意げに先走る子ども。
ゆっくりストーリーを楽しむことなく知っていることを話したいだけなのかな?と感じることがあるかもしれません。
これも子どもの安心感や認めてもらいたい気持ちの表れなのです。

こういった場合は「そうだね、そうだったかな? 知ってるんだね。覚えてくれてうれしいな。ママも覚えているよ。お話しもう一回楽しみたいから、一緒に見よう」などと、受け入れながら読み進めます。

絵本は黙って向き合いおとなしく読み聞かせに応じさせるだけではなく、親子の言葉のやり取りや触れ合いを楽しむ「すべ」でもあるのです。

「どうして先に言っちゃうの?少し黙っていないさいっ!!」などと叱ったり怒ることなく、そうだね!覚えているんだね!と子どもの成長や得意な気持ちを受け止めてあげましょう。

もういっかい読んで!とせがむ、または途中で「おしまい」と止めたがる

絵本を読み終えたら同じ本を「もう一回読んで」と言ったり、次々に違う絵本を持ってきては読み聞かせをせがむことがあるかもしれません。

そんなときもこちらが飽きることなく、繰返し読んであげましょう
あまりにも続く場合や、時間が無いときは、読み聞かせる前に「今日は2冊までね、選んできてね。2冊読んだらおしまいだよ」と約束をします。

また、読んでと言ったのに「おしまい!」と途中で子どもが絵本を閉じてしまい、違う絵本を次々に持ってくる場合もあります。
この場合は絵本を読んでほしいのではなく、パパやママと一緒に遊びたい気持ちの現れ。
お散歩をしたり、体を動かす遊びを存分にした後、食事の前やおやつのあとなど、活動の節目の落ち着いているときに、かんたんで短い絵本を読んであげましょう。

「自分で!」と自分で見たがる

読み聞かせの途中に、子どもがページをめくりたがったり、文字を読みたがることがあります。

せっかく読んであげているのに…まだそのページは読んでいないからめくらないでー!など、パパやママにはじれったい思いがあるかもしれませんね。
けれど、子どもにページをめくらせてあげたり、子どもに読んでもらって良いのです。

こんなときの子どもは、やはり保護者と関わって遊びたい、自分ができることを表現し認められ褒められたいという気持ちでいることが多いはずです。
「読んでくれるの?うれしいなぁ。ページをめくるの優しくて上手だね!」と、絵本を読むのが楽しい気持ちになる声かけをして関わってあげましょう。

年齢にそぐわない難しい・かんたんな絵本を読んでほしいとせがむ

文字が多い児童文学のような本や、内容が難しい絵本を読んでと言ったり、もう大きいのに赤ちゃんに読み聞かせるような本を読んでほしいと言うことがありますね。

そんな時も迷うことなく読んであげましょう。
難しい本は途中で飽きてしまうでしょう。
それでも良いのです。また、幼い本は物足りない気持ちと同時に、懐かしさや甘えたい気持ちがあるのかもしれません。

絵本を読み終わったら赤ちゃんの頃のお話しを子どもと一緒にしてもいいでしょう。
絵本を通して子どもと会話をするきっかけになるのがいいですね。

読んで!といったのに、集中しない、立ち歩く、おしまい!と閉じてしまう

子どもが持ってきた本を読み聞かせしている途中に飽きて立ち歩いたり、「もうおしまい!終わり!」と子どもが本をパタンと閉じてしまうことがあるかもしれません。
こんな時もやっぱり子どもは手持無沙汰で、保護者と一緒に思い切り遊びたい気持ちの表れだったりもします。

また、持ってきてはみたものの、自分の興味や発達に合っていない絵本だった可能性もありますね。
「今度はママが、〇〇ちゃんと見たい絵本を読んでもいいかな?」と保護者が選んだり、それでも絵本に集中しない場合は絵本をやめて、他の遊びをして思い切り楽しみましょう。

絵本は心や体が充足していれば、集中し楽しんで見ることができるはずです。

まとめ

絵本の読み聞かせのコツや、ポイント、普段の読み聞かせの中で疑問に感じることや子どもの姿の理由についてご紹介しました。

絵本を特別な時間と捉えず、子どもとのコミュニケーションや遊びのひとつと思えば、堅苦しく考えず楽しめるはずです。

子どもが読み終わったときに、ただ「おもしろかったぁー!」と思えればそれでいいのです。
ぜひ子どもとの日常生活に絵本を取り入れ、一緒に遊んでみてください。