絵本を読んで!もう一回!と、お子さんにせがまれたときパパやママはどんな気持ちになりますか?忙しいとき、寝かせる時間が迫っているときは、ちょっと面倒に感じたり早口で読んでしまったり…けれど絵本を読む時間は親子にとってなくてはならない大切な時間です。得られる効果やメリットを考えてみましょう。
目次
絵本の読み聞かせで気を付けたいポイント
絵本の読み聞かせって、何か決まりがあるのでしょうか。
ルールや決まりは特にありません。
パパやママの声を通して物語を聞くことが何より楽しみです。
ちょっとした注意点をご紹介しましょう。
ゆっくり読む
早く終わらせたいな、面倒だな、忙しい時間にはそんな風に考え早口で読み終えたいと思うことはないでしょうか。
子どもの絵本はストーリーが短くて5分もかからず読み終えることでしょう。
たった5分間、子どもと絵本の世界に浸ってみることはそう長くない時間でしょう。
忙しいパパやママが自分のために時間を割いて、自分だけのパパとママになってくれる時間は、子どもにとってどれほどの宝物かわかりません。
何ものにも代えがたい大切な時間です。
どうか心を込めて、ゆっくりと物語を世界感を伝えてあげてください。
あまり声色を変えない、大声で読まない
役になりきって登場人物が変わるごとに声色を変えることは必要ありません。
また、声のトーンや音量を変えることも必要ありません。
絵本に書いてある文字を普通読むだけでよいのです。
声の調子や音量を変えて演じない方が子どもの想像力を掻き立てます。
淡々とストーリーを読む、ゆっくり心をこめて読んでいくだけでよいのです。
アドリブを入れるなど内容を勝手に変えない
絵本に書いてある文章を自己流でアレンジしたり、ページを飛ばすなど、お話しの内容が変わってしまうようなアドリブを勝手にいれるのはやめましょう。
絵本を作った作者には一文一文に様々な意図や思い入れがあるはず。
一文字であっても変えてしまうことは、絵本の本当の良さや思いが子どもに伝わらないことになるのです。
(読み方を間違うのは良いんですよ。これは仕方のないことです。)
ぜひ、絵本に書いてあることだけを読んであげましょう。
表紙から裏表紙まできっちり読む
表紙には絵本のタイトル、作者、出版社が書いてあるはずです。
また、開くとまたタイトルや作者、出版社が書いてあるほか、海外の絵本などでは一文のメッセージが書かれていることもあるでしょう。
本文に入り、最後のページが終わったら、裏表紙もしっかり見せます。
表紙からスタートし裏表紙まで絵本のストーリーがつながっています。
ほとんどの絵本は裏表紙にお話しの続きや情景が描かれていますので、ぜひお子さんと楽しんでみてください。
また、タイトルや作者、出版社もしっかり読んであげることで子どもが、「誰が書いた、どこの出版社の、なんというタイトルの絵本だったのか」、全てセットで覚えていることもあります。
そうすることで、「長新太さんの絵本が読みたい」「福音館書店の絵本はほかにどんなのがあるの?」「先生は偕成社の絵本を読むことが多いね、ぼくも偕成社の本が好きだな」などと覚え、自分で絵本を選ぶときにも大変役に立つんです。
ぜひとも読んであげてください。
途中で質問をしない
絵本を読みながら、「今のところ、どういう意味かわかった?」「次どうなると思う?」などと質問をしないほうが良いでしょう。
それは子どもが心の中で行うことです。
わざわざ質問することで物語に入り込んでいる大切な時間を現実に引き戻してしまうことになります。
ついついちゃんと聞いてるかな? お話しの内容を理解しているかな?と気になって聞きたくなってしまうのですが、質問はしないようにしましょう。
読み終えた後、子どもに感想を聞かない、こちらの感想を言わない
子どもから自然と出る感想については、喜んで聞いてあげましょう。
「楽しかった」「おもしろかったー」とだけ言っても「それだけ? こういうところはどう思った?」などと聞きません。
おもしろかった…その感想だけで十分楽しんだという証なのです。
また、「おもしろかったね」「●●の部分は〇〇だったよね」などと自分の感想も言わないようにしましょう。
これは、物語の世界へ入り込んで楽しんだ子どもの心を壊してしまうことにもなるからです。
せっかく読んであげたのだから感想を知りたい、新しく購入した絵本がおもしろかったか知りたいと、聞いてしまいがちなのですが気を付けたいですね。
どうしても聞いてみたいときは、絵本を読んでいない時間に、好きな絵本を聞いてみるのは良いのではないでしょうか。
もう大きいから自分で読みなさいと言わない
小学校へ入学する前後や、入学後などはある程度文字が読めるので自分で本を読む子どももいるでしょう。
ですが成長しても「絵本読んで」と言ってくるお子さんもいますね。
もう自分で読めるのに…と思うと「自分で読めるでしょう?」「読んでママに聞かせて」などと読むことを拒んでしまうことって、ありませんか?
子どもはなぜ自分で読めるのに読んでほしいとせがむのでしょう。
それはパパやママに甘えたい、触れ合いたいと思うからです。
絵本を通してゆっくりと触れ合いたい気持ちにぜひ寄添い、自分で読める年齢になっても読んであげましょう。
絵本の読み聞かせで選びたい「よい絵本」とは?
どんな絵本を選んだ良いのか、書店の絵本コーナーや図書館の絵本棚を見ては迷ってしまうことでしょう。
多くありすぎて、どれが良い本なのか判断をするのは難しいことですね。
子どもが読みたがるのなら、パパやママが読んであげたいと思うのなら、どんな絵本でも良いのです。
ちょっとした目安をお伝えしましょう。
アニメのヒーローやキャラクターものは避ける
テレビのアニメやヒーローの絵本はテレビや映画で目にしているものなので、できればそこから離れた内容がおすすめです。
子どもが現実の生活から少し離れて、絵本の世界に没頭できるような内容の絵本を選びましょう。
昔から長く愛されている絵本
「おおきなかぶ」や「はらぺこあおむし」など、パパやママが子どもだった頃から今も読み継がれている絵本は、なぜ廃れず長く読まれているのでしょうか。
それは文章やイラストに確かな手ごたえがあるから。
子どもが時間を忘れて入り込める世界感があり、読み終わった後でもまたすぐに読んでほしくなる深みが存在するからでしょう。
お話しの内容も流行りや廃りがなく、子どもの世界を重んじ、分かりやすいことも長く愛される絵本だからこそ。
書店に並ぶ目新しい絵本ももちろん楽しいのですが、昔からある絵本にもぜひ着目してみてくださいね。
挿絵が分かりやすくて正確
絵については、年齢や月齢が小さいほどはっきりとした色合いのものを選ぶことが刺激になると言われています。
赤ちゃんには柔らかでふんわりとした色合いのものを選びたくなりますが、視力が育ちきっていない赤ちゃんの目にもはっきりと識別できるイラストが良いですね。
また、絵本のイラストはお話しの内容を楽しくする一番の決め手です。
色を見ただけで子どもが楽しい気持ちになれるか、丁寧に無駄なく描かれているか、物語りに期待を持たせるように描かれているかなどがポイントです。
推薦絵本リストなどを参考にする
それでもたくさんある絵本の中から良き絵本を探すのは難しいでしょう。
そんなときは、出版社などから出されている推薦絵本リストなどを参考にしてみてはいかがでしょうか。
全国学校図書館協議会、図書の選定事業で選ばれている「よい絵本」のリストなどインターネット上でも閲覧できます。
出典:「よい絵本」/全国学校図書館協議会
絵本の読み聞かせで得られる6つの効果
良い絵本を選ぶこと、子どもの世界を大切にしながら読んであげることなど、考えながら読んであげることで、得られるメリットはどのようなことになるのでしょうか。
6つの効果についてご紹介しましょう。
① 親子のコミュニケーションを深めることができる
子どもは絵本を読んで欲しい気持ちとと共に、パパやママと一緒の時間を過ごしたい、パパやママを自分だけで独占したいという気持ちを持っています。
楽しい絵本を大好きなパパやママの声を通して聞く時間は、子どもにとって宝物のような時間となるでしょう。
また、読んであげるパパやママも忙しさをわすれ短い時間でも子どものために時間を割き、子どもの喜ぶ姿や絵本に集中する姿を目にすることは、親として幸せな時間になるでしょう。
絵本の読み聞かせには、親子双方にメリットが多くあるのです。
② 安心感を得られる
絵本をゆっくりと読む時間は親子共に安心感を感じられる時間になりますね。
子どもはパパやママに大切にされ、愛されていることを感じ、心から安心することでしょう。
活動の節目や、遊びを終わるとき、出かける前、眠る前などに絵本を読むことが多いかもしれませんが、安心感を得ることで心が満たされ次の行動へ移りやすくなるはずです。
絵本をゆっくり読む時間を一日に一度は作ってあげたいですね。
③ 集中力を養う
短い時間であってもお話しの世界に没頭することは、集中力が必要です。
小さな頃や読み聞かせを始めた頃は、歩き回ったり、途中で飽きてしまったり、おしまい!と子どもが絵本をパタンと閉じてしまうような姿があるかもしれません。
そんなときは、子どもの興味にあった、わかりやすく短い絵本や、子どもの年齢よりも少し幼い年齢設定の絵本から読み始めてみましょう。
絵本は楽しいものだと理解できると、徐々に年齢に合った絵本も好むようになり、長いお話しを繰返しせがんだり、集中できるようになります。
どんなに年齢のすすんだお子さんであっても、絵本を読んであげることで心が安定し、楽しめるようになります。
読み聞かせを始めるのに遅い年齢はありません。
集中力がつくと様々なことへの興味にもつながっていきます。
④ 想像力や文章力、語彙力が育つ
絵本の中に書かれている文章は、時には繰り返す音だったり、リズミカルなものだったり、昔話調だったりと、様々な表現方法が使われています。
全てを語らず子どもにイメージさせたり、イラストと併せて想像力を掻き立てるお話しもありますね。
保育園や幼稚園では日常的に絵本の読み聞かせをしていますが、ときには子どもたちが絵本んの中に出てくる言葉の表現を使って、友達や保育士・教師と会話していることもあるんです。
たとえば、
「うんとこしょ、どっこいしょって、綱引き引っ張ってるね」/おおきなかぶ
出典:福音館書店
「がたん ごとん がたん ごとん」って橋を渡るよ/三匹のやぎのがらがらどん
出典:福音館書店
など、子どもの心には繰返し表現される言葉が心地よく残り、会話にも現れます。
子どもの語彙や表現力、文章力はこういった絵本の語りや文章の一文から、遊びや会話へとつながり、どんどん広がっていくのです。
⑤ 人の話を聞く力がつく
絵本にはストーリーがありますね。
少しずつ年齢がすすむにつれてストーリー性のある絵本も楽しめるようになっていきます。
ちょっと文字が多い絵本も取り入れていくことで、長いお話しも集中したまま飽きずに聞けるようになっていきます。
そうすることで、先生や友達、家族の話をしっかり聞きとり、意味合いを理解しようとする力が育っていきます。
もちろん、人の話をしっかりと聞く力は、絵本の読み聞かせだけに限ったことではありません。
それでも、楽しいお話を期待を持って聞く、何を言おうとしているのか理解しようとしながら聞くという姿は、絵本の読み聞かせを通して十分に育っていくのです。
⑥ 本を読む習慣がつく
絵本の読み聞かせが習慣になってくると、保育園や幼稚園、小学校や中学校でも自分で本を借りてくるようになります。
興味に合っていたり、ちょっと難しかったりと色々な本に自ら触れられる子どもになるでしょう。
絵本の読み聞かせを続けることは、子どもが本を好きになり、自ら文字に触れるきっかけや土台をつくる事になるのです。
絵本の読み聞かせをすることで、大人も安らぎを得られる
先にも触れましたが、絵本の読み聞かせは子どもにだけメリットがあるわけではありません。
日々忙しく過ごす大人にとっても大きなメリットがあるものです。
子育ては大変な仕事です。
自分の時間が奪われ、子どもの生活をサポートし、自分の仕事もある保護者の方もいるでしょう。
そんな忙しさの中、絵本の読み聞かせを穏やかに過ごすなんて無理だと思う方もいるかもしれません。
ですが、小さな子どもはあっという間に大きくなりますね。
パパ、ママ、絵本を読んで!とせがんでくる時期は何年かのこと。
子どもを膝にのせ、柔らかな髪の毛を感じ、集中して見てくれたことや何冊も絵本を持ってきては読んで!とせがまれた時間は、将来大切な子育ての想い出になるはずです。
絵本を読むときは、一切の家事や仕事を忘れ、ぜひお子さんとの時間を全身で楽しんでみましょう。
まとめ
絵本の読み聞かせは、親子で大切な時間となるというお話しをご紹介しました。
子どもの様々な成長の土台作りとなる絵本の読み聞かせは、パパやママにとっても育児を頑張ったご褒美のように大切な時間になるものです。
ぜひ、1日1冊、絵本を読む時間を作って見ませんか。