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子どもの「自己教育力」を育てる!モンテッソーリ教育とは?

モンテッソーリ教育という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ヨーロッパの小児科医・マリアモンテッソーリによって生まれた教育法で、日本では就学前の幼稚園や保育園で取り入れている園があります。「お仕事」と呼ばれる教具を使っ田教育で子どもの好奇心を育てるモンテッソーリ教育。今注目のモンテッソーリ教育とは、どのようなものなのか、具体的にご紹介しましょう。

モンテッソーリ教育の基本的な考え

「モンテッソーリ教育」とは、20世紀初頭にマリア・モンテッソーリによって考案された教育法です。100年以上の歴史がある教育法で、心理学的、教育学的にもしっかりと確立された教育法だということが認識されています。
出典:日本モンテッソーリ教育総合研究所

イタリアのローマで医師として精神病院で働いていたモンテッソーリは知的障害児へ感覚教育法を施し知的水準を上げるという効果を見せ、1907年に設立した貧困層の健常児を対象とした保育施設「子どもの家」において、その独特な教育法を完成させた。
以後、モンテッソーリ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになる。

シュタイナー教育と共に、既存の教育に不信感を持つニューエイジャーの支持を集めた。

モンテッソーリ教育法においては、子どもたちは生まれながらにして知ることを強く求めているもので、思慮深く用意された支援的な学習環境の中であれば、自発的に学び始める力を持っていると捉える。
モンテッソーリ教育法は子どもたちを身体面、社会面、情緒面、認知面で発達させることを目指す。

モンテッソーリ教育理論は、基本的には子どもの発達モデルであり、その発達モデルに基づいた教育法である。
この発達モデルには二つの基本的原則がある。
第一に、子どもたちや発達途上の大人たちは、自己を取り巻く環境と相互作用することによって、精神的な自己の構築に取り組むものであると考える。
第二に、特に6歳未満の子供たちの精神的発達には、先天的(生来的、生得的)な発達経路があると考える。
モンテッソーリは、自らの観察に基づき、その発達モデルに則って準備された環境の中で、選択と行動の自由を与えられた子供たちは、それぞれの最適な発達のために自発的に行動するだろうと考えた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/モンテッソーリ教育

モンテッソーリ教育の目的とは?

「子どもには自ら成長する力がある」という観点から、周囲の大人が子どもが集中して興味のあることに取り組める環境と関わりを整えることによって、「精神的に自立をした、責任感と他人への思いやりが育まれ、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てること」を目的としています。

そのために幼児期の関わりのひとつとして、モンテッソーリの教具を使用します。この活動は「お仕事」と呼ばれ、成長していく段階で現れる「敏感期」と合わせての教育となります。

集中して興味のあることに取り組んだ子どもは、達成感と幸せを感じ、様々なことに対応できる土台を築いていきます。また、周囲の人にも易しくかかわることができたり、更に成長を求め、自分のできることに自ら取り組むことになります。

「敏感期」とは?

子どもは大人が一歩引くことで、自ら成長しようとする力を持っています。子どもが保護者や周囲の大人の力を借りずに、自分で取組み達成したいと思う事柄や時期を「敏感期」と言います能力を得たいと思い、1つのことに対して敏感になる時期です。

成長の段階に合わせて現れる「敏感期」を知っていることで、その時期の子どもの興味や特徴に合わせた育児をすることができ、子どもを尊重した育児になるのです。

子どもの得たい能力やその時期の特徴を知ることで、育児が格段にラクになるという事例も多くあります。

「子どもの自主性」「敏感期」と「お仕事」「自主的に楽しめる環境整備」をうまく組み合わせながら行うことがモンテッソーリ教育の根本でもあります。また、子どもの成長発達を知ることで、子どもの興味にあった活動を提供したり、保護者も発達段階を知ることで関わりのコツや、子どもの姿に理解を深めることができるでしょう。

それでは、月齢・年齢別の「敏感期」を見ていきましょう。

敏感期は6つの時期に分かれる~幼児期の敏感期をご紹介

子どもの成長や発達によって、様々な敏感期があります。時期や年齢などをあわせてどのような特徴があるのかご紹介しましょう。

言語・文字の敏感期→胎児期7か月~5歳半

言語の敏感期は2つの時期があります。1つは、7か月の胎児期から3歳までの「話し言葉」に対する敏感期もう1つは、3歳半から5歳半までの「文字」に対する敏感期です。

母親の胎内で聞く母親の言葉や周囲の音などに敏感に関心を寄せる時期からスタートし、3歳半からは書き言葉・書く言葉としての「文字」に関心が高まります。その時期を見逃さず、興味・関心を寄せる環境を用意してあげることで子どもは満足し「文字」に集中して理解を高めていきます。

感覚の敏感期→0歳~3歳

人間の五感である「視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚」が敏感になる時期です。実際に触ったり、見たり、匂いを感じたり、聞いたりすることで今後一生の感受性や感覚の育ちに差が出ると言われています。
実際に体を動かして様々なものに触れ、体験や経験を増やすことが大切です。

運動の敏感期→0歳~3歳と3歳~6歳

走る・跳ぶという運動ではなく、立ったり座ったり、腕を動かしたり、運んだり、貼ったり折ったりと、自分の意志で思うままに体を動かすことです。2歳を迎えた頃から始まる「自分で!」といういわゆるイヤイヤ期もこの時期に重なります。
3歳までに培った運動を、3歳以降は更に発展させた複雑な運動になっていきます。
子どもがやりたい気持ちを満足させるため、子どもが使いやすいサイズのものでお手伝いをさせることを通し、運動機能の敏感期を満足させることで、更なる成長発達へとつながります。
また、扉を開けたり閉めたり、紙を破ったりするなど、大人にとっては無意味に見える行動も体内の運動を調整する動きです。満足するまでやらせてあげることでストレスを感じることなく運動の敏感期が刺激されていきます。

数の敏感期→4歳~5歳

ひとつ、ふたつ、みっつと物の数を数える時期は、数に対する敏感期の到来です。数を数えるだけではなく、順序や多い少ない、増減など日常生活の中で敏感に興味を示します。
この時期の子どもには、数を数えさせたり、数字のカードを用意し自発的に数を使えるようにしましょう。

文化の敏感期→6歳~9歳

「文化」とは、言葉や数以外の興味・関心に対することを指します。例えば、植物、動物、鉱物、宇宙、歴史、地理など広範囲にわたります。この時期の子どもは様々なことに関心を持ち、図鑑で調べたり大人に聞いたりしてきます。それと同時に社会性も発達し、友達との関りを楽しく心地よく感じたり、一緒の行動や活動をしたがります。ルールやモラルも守ろうとする敏感期でもあります。

モンテッソーリ教育の内容とは?年齢別に目的をご紹介

モンテッソーリ教育には目的別に分野が分かれています。3歳未満の子どもには7つの教育活動が、3歳以上6歳までの子どもには5つの教育活動があります。
活動内容と、目的を見ていきましょう。

0歳~3歳までの教育活動とその目的とは?

0歳から3歳までの前期は「吸収する精神(無意識)」の時期と呼び、人生の中でもっとも吸収力が強く、その後何年かけても達成できないようなことをいとも簡単に獲得し、人間社会に「適応」していく時期です。

子どもの自己教育力を発揮させる環境として主に7つの教育環境が用意されています。

①粗大運動の活動

寝返り、ずり這い、はいはい、伝い歩き、歩行、階段の昇降などの運動を言います。跳び箱や鉄棒などの運動ではありません。体を使った自立の第一歩を目指します。

②微細運動の活動

微細運動とは、特に手や腕の筋肉を使うことを言います。だいたい3か月くらいから物に触るとしたり握ったりし、見て触れようとします。腰がすわり、お座りができるようになる頃は、ボールをつかんだり叩いたりします。1歳前後からは箱や扉を開けたり閉めたり、枠からはずしたりはめたり、ひもを通したりするようになります。

③日常生活の練習

ほぼ1歳くらいから、粗大運動と微細運動を組み合わせ、大人の模倣をしながら洗濯や掃除、食器洗いなどに興味を持ちます。大人が動作を提示し、子どもにあったサイズのものを持たせ、させましょう。この時期に無駄のない動き、秩序だった動き方、身のこなし方を伝え、身につけることができれば、子どもは自分の意志の通りに体を動かせるように成長していきます。

④言語教育

言葉を話すだけではなく文字を書くことに意識をもった活動です。自分の気持ちを言葉に表すこと、自分の気持ちを整理すること、人とコミュニケーションをとることが目的です。
書く敏感期は3歳〜4歳半ごろ、読む敏感期は4歳半〜5歳半と言われ、6歳を過ぎる頃から消失していきます。言語教育は自分の頭で考えコミュニケーションをとることにつながる教育です。教具を使わなくても絵本を読んだり、会話を楽しむことでも育ちます。

⑤感覚教育

感覚は環境に影響されるものです。環境から吸収した感覚は美的感覚や危険察知能力など様々な感覚を育てる「感覚教育」で培われます。様々な感覚を経験することで研ぎ澄まされていきます。

⑥音楽

音楽を聴き楽しい気分になったり、思わず体が動いてしまうようなことを知るための教育です。また、体を動かしリズムを感じながら、様々な体の動かし方を得ます。

⑦美術

物を見ながらスケッチしたり粘土をこねたりする動作の中で、目と手が連動した強調運動を促します。自分の思うままに表現する楽しさも感じます。

3歳~6歳までの教育活動とその目的とは?

3歳から6歳までの後期は、「意識の芽生え」の時期。0歳~3歳までの時期に吸収したさまざまな経験を更なる経験を積み重ねることで、はっきりと認識し秩序立てた経験をしていく時期でしょう。その上での教育活動は以下の通りです。

①日常生活の練習

なんでも大人の真似をしたがる模倣の時期と、運動感覚の敏感期を経て運動感覚の完成を目指します。子どもは何もできない・何も知らないのではなく、子どもにもしっかりとやり方を伝えること、子どもにあった道具で同じ経験をさせることに観点を置き、正確に伝えていきます。子どもは自立に向けて歩き出します。
洗濯・掃除・はさみ・料理など体の動きを調節しながら運動をする体験を積み重ねます。

②感覚教育

小さな音を聞く、音を立てないように歩く、たくさんの中から違うものを見つけるなど、様々な感覚が3歳までに育っており、3歳以降は「対にする」「段階づける」「分類する」という、三つの操作を通して観察能力や、思考能力を育てます。これらの感覚教育は算数や言語教育の土台となる大切なものです。

③言語教育

「話し言葉」をより完成させ、言語が豊かになるように教育をしていきます。会話や挨拶、言葉遊びやイラストカード、絵本の読み聞かせなどを通し、「話し言葉」から「書き言葉」へ導き、言語による表現力を広げていきます。
説明文を読んだり、手紙を書く、文字探しなどの教具を通して書き言葉へと展開していきます。

④算数教育

数の敏感期を経て3歳から6歳の算数教育へとつながります。算数教育とは計算をするだけではなく、数字と実物の量を目で見て実感していきます。数字としてだけではなく数の概念を日常の経験を通して学習できるように、子どもの興味に添った教具で算数教育を行います。

⑤文化教育

小学校の社会や理解の分野のような教育を文化教育と言います。マリアモンテッソーリは、「平和は子どもから始まる」と言いました。文化教育は平和教育にもつながる活動であり、地理・歴史・宗教・伝統・音楽・美術を含む要素全てが文化教育となります。

援助する大人が大切にしたい関わりとは?

モンテッソーリ教育をする上で、大切な大人の関りとは、どんなことでしょうか。

    • 道具の準備

 

    • やり方を提示する、黙って見せる

 

    • できばえを評価しない

 

    • 手出し口出しをしない

 

以上が大切なことです。
モンテッソーリ教育用の教具が用意できないのであれば、それに似たものや子どものサイズにあったものを用意しましょう。
やり方を教える時は正確に、言葉を添えず黙ってやってみせます。
子どもが実際にやるときは、「違うよ、それじゃないでしょう」など途中でダメ出しなどをせず最後まで見守り、終わってから正しいやり方を再度説明します。この時も「できなかったね」「それじゃあダメだよ」「また間違ったね」など出来栄えを評価しないことが大切です。
このような大人の姿勢が、子どものやる気や興味を向上させると同時に、最後までやりにく力につながります。モンテッソーリ教育の根本として掲げられている子どもの「自立」を正しく理解するには、まずは大人自身が常に考え、適切な行動を取ることが子どもの成長にプラスとなることでしょう。

モンテッソーリ教育のひろがりと日本

先にもお伝えしたように日本でのモンテッソーリ教育は、幼稚園や保育園で取り入れているのが主流です。公立小学校で取り入れている学校はなく、全て私立校となります。
モンテッソーリ教育は、早期教育とは全く違うのですが、早期教育と捉えられがちであり、幼稚園や保育園では取り入れられていてもその後は続かないという現状があります。
そのため保護者と一緒にモンテッソーリ教育の教具や、教育を実践し、続けていくという家庭も見受けられます。

最近は認知度も高く、広まりつつあり人気もあるので、少しずつ広がりを見せるかもしれません。

まとめ

モンテッソーリ教育の基本的な考え方と、教育目標についてご紹介しました。
子どもの興味や発達に合わせた視点で関わり伝えていくことが、さらなる成長を促し、育児も楽になると言われているモンテッソーリ教育
今後は家庭でできることなどもお伝えしていきます。